中村紀洋の打撃理論とは?
中村紀洋の打撃理論とは?
ホームランバッター中村紀洋による打撃理論の解説です。
バットを下から出す考えが優勢になる中、古典的なダウンスイングによる理論です。
素振りとそれを踏まえたマシン打撃
(2017年12月3日 qoonin TVより)
引き手の手首を絞る
最初の構えの時点で雑巾を絞るようにバットを持つと指導していますが、ポイントは引き手です。
引き手の手首を、雑巾を絞ったように内側に入れ、その状態をインパクトまでキープするように心がけます。
これがキープできないとヘッドが下がり、速球に対してポップフライが多くなります。
引き手の力を抜き、押し手の力で打つ
引き手で打つタイプと押し手で打つタイプの2つの考え方がありますが、中村氏は押し手派です。
引き手はバットに添えるだけで、押し手でバットをコントロールします。
インパクトは押し手が引き手を追い越す時
インパクトの手前で引き手を止めて回転の支点とし、押し手が引き手を追い越すようにします。
この追い越す時にインパクトを迎えるようにすると力を発揮できるようです。
インパクトは前、首を傾けない
極端なダウンスイングのため、インパクト(スイング音が鳴る瞬間)はだいぶ前になります。
そして前で捉えるため、ボールを上からのぞき込むようなイメージを持ち、首を傾けないようにします。
一本背負いをイメージした指導動画
(2017年12月4日 qoonin TVより)
ダウンスイングで無駄なく真っ直ぐバットを下すために、一本背負いや投球フォームからのスイングを指導しています。
ただし、これはあくまで意識付けのための練習ということに留意する必要があります。
考察
この指導ではバットを上から大根切りのように叩きつけていますが、これはあくまでバットをスムーズに出すためのイメージ作りということに留意する必要があります。
素振りではバットのヘッドが胸の前を通過していますが、マシン打撃ではベルトのあたりを通過しています。
テイクバックを深くするとインパクトまでの距離が長くなるため、前から来るボールに対しては必然的にレベルスイングに近くなります。
その際、バットのヘッドは顔と肩の間ではなく、腕の横から出てくるはずです。
腕の横から出てくれば、体は自然とホームベース寄りに傾きます。
ホームベースと反対方向に傾くようにというのは、あくまで肩を入れ過ぎないように極端なイメージづけをしていると考えるべきでしょう。
ちなみに、王貞治も素振りはダウンスイング、実際の打席はアッパースイングですが、素振り映像のイメージが強いためにダウンスイングとして定着してしまっています。
ダウンスイングでバットを振り下ろすためスイングスピードが上がり、スイングの音がはっきり聞こえることから、非常に大きなパワーを生んでいることがわかります。
一方、スイング音がだいぶ投手寄りで鳴っていることからインパクトポイントも投手寄りのスイングになっています。
落ちる変化球はバットを下から出し、体の近いところで捉えないと、ミートするのが難しいため、この打ち方で様々な球種に対応するのは現実的ではないと考えられます。
ストレート中心、ボールに力がある、打者の体が小さくヘッドの重みも利用してスイングスピードを上げる等の場合には有効だと思いますが、体が大きい打者やボールの押し込みが弱い軟式の場合は、無理にこの打ち方をする必要はないと思われます。
バットをスムーズに出す方法やヘッドを走らせる方法の参考として考えるのが良いでしょう。